【ゼミ生の本音】齊藤拓海 2017/06/23

皆さん、戦略兵器とは何でしょうか?多くの人が戦略兵器と聞き思い付くのは戦略核ミサイルのことでしょうか。戦略核は射程が長く、威力が凄まじい兵器で、「戦争を政治の手段では無くした」と言われるほどです。

しかし、戦略兵器は核だけでは無いようにみえます。戦略とは何かを考えてみると、戦略兵器とは、その兵器の存在自体が政治的な影響を保持し、恐らくそれを所持するものの政治目標の達成に資すると考えられる兵器ではないでしょうか。通常の軍事力は、戦闘を行い、勝利し、相手に我の意志を押し付けます。つまり、使用者が非戦略兵器により政治的な目標を達成しようとすると、必ず戦闘を伴うことになります。戦略兵器とは、この戦闘という段階をスキップすることの出来る兵器ということです。
このように考えてみると、戦略兵器は核だけで無いように思えてきます。核はその威力と射程により戦闘段階をスキップしています。では、他に戦闘をスキップし、それを保持することで政治レベルに影響を与えられる兵器は何があるでしょうか。恐らくその答えは無数に存在します。ある兵器が政治レベルに影響を与えるのか否かは、その時の文脈で変化するからです。そもそも、最初の核兵器は強い爆弾としか考えられていなかったように思われます。その一方でMD用のアセットはそれが、存在すらしていない段階で政治的な影響を与えていました。80年代のSDI 構想へのこだわりが、米ソ首脳会談の決裂の原因の一つになっています。

つまり、戦略兵器とは、その時の文脈で変化するものであり、全ての兵器が戦略兵器になりうる可能性があるということです。