5/21 本ゼミ 議事録

森ゼミ 議事録 5/21

渡野辺和真

 

リサーチプログラム

リサーチプログラムとは国際政治上の事象をとらえるうえで理論的で体系的な視点を提供する考え方・切り口のこと。

例…リアリズム、リベラリズム、コンストラクティビズム

 

TIPTFP

TIP(国際政治理論)2以上の国家の相互作用を説明しようとする理論。

例…ネオリアリズムなど

TFP(対外政策理論)…一つの国家の対外行動・対外政策を説明しようとする理論

例…ネオクラシカル・リアリズム

 

・外的要因と内的要因

 

外的要因を重視するリサーチプログラム(outside-in approach)…似たような外的環境に置かれれば、国家の性質にかかわらず、国家は同じような行動をとる。

 

例…ネオリアリズムの前提となる国家に関する仮定

 

 

 

 

国家は国家間協調における相対利得(他の国家と比べてどの程度の利得を得たか-Relative gain)を重視する。

 

内的要因を重視するリサーチプログラム(inside-out approach)…政府(国家)は代表機関であり、国内の諸アクターの選好や利益が折衷された結果を反映するような、対外政策を作成する。

 

例…古典的なリベラリズム、多元主義

国家(政府)は多元的な政体で、国内要因を重視する。

 

 

 

ネオリベラル制度論

国家は、国家間協調における絶対利得(協調から得られる利益の有無-absolute gain)を重視する。

ネオリベラル制度論は、従来のリベラリズムと異なり、国家を単一の合理的主体という前提に置き換えて、国家間の協調を説明しようとする。

 

相互依存論

コヘイン・ナイは複合的相互依存という見解を提示した。

参考文献Power and Independence (Keohane, Nye)

         After Hegemony (Keohane)

 

国際制度について

覇権国であるアメリカが衰退しても、国際制度は崩れず、国際制度のルールは守られている。

Why?

ルール(国際秩序)は一度作られると、独自のダイナミズムを持つようになるのではないか。(国際秩序を守ることで利益が生まれる)

 

合理主義

合理主義とは…結果や損得を重視する論理。「結果的に損か得か」

 

 

 構成主義…適切性を重視する論理「適切か不適切か」

 

・課題「リベラリズムの観点から予測する今後の東アジア情勢」

 

各班の意見

 

D

 

C

相互依存論…中国が経済成長している。各国は相互依存関係にあるため、協力する。

ネオリベラル制度論…各国は中国をレジームに取り込み、絶対利得を得ようとする。中国としてもレジームに入れば絶対利得を得ることができるので、レジームに参加する。

デモクラティックピース論…民主主義である国家は協調が取れるが、中国・北朝鮮は協調が取れない。

B

相互依存…中国とアメリカの依存は対称的である。日韓は現在の相互依存に従う。

ネオリベラル制度論…中国の成長はレジームによるので、これからもレジームに従う。

デモクラティックピース論…日本・韓国・台湾で協調し中国・北朝鮮とにらみ合う。

A

相互依存…中国が戦争で得られる利得<貿易で得られる利得

中国の資本は海外にもあるので、海外も支援する(資本の相互依存)

ネオリベラル制度論…中国は制度内で利得を得ようとする。

 

・コンストラクティビズムについて

コンストラクティビズムの言う2つの事実

物理的事実…ダイヤは硬い

社会的事実…ダイヤは高価だ

 

間主観とは…ある物事や事象に対する共共有された認識。

 

アイデンティティはどこから来るのか

・集団的に共有されている規範による。規範が内面化されると、その規範が当然の前提となってゆく。

・歴史的な経験から生み出される

 

 

 

コンストラクティビズム

※規範が主体を構成し、それらを共有する主体が集合することでコミュニティが形成される。

 

 

再来週(6/5)までの課題

リアリズム・リベラリズムでは説明できないが、コンストラクティビズムでは説明できる国際政治上の事例を挙げる。ただし、冷戦の終結と日本の各非武装の事例は除く。

 

5/24 サブゼミ議事録

今回は、①リアリズム

     ②リベラリズム

     ③コンストラクティヴィズムの三大基本理論の復習として、

「中国の軍事費増大」という事実から、二つの理論の視点を組み合わせて、どのような見方・推測が立ち得るのかを検討しました。

6つの班に別れ、それぞれ3種類の組み合わせについてグルプディスカッションした結論は以下の通りです。

 

1(リアリズム+コンストラクティヴィズム)

無理です。

→リアリズムは常に普遍であるのに対し、コンストラクティヴィズムは変化を説明するもの。

 

観念の変化が日本に起こったとして、その変化が起こったあとにリアリズムの流れに準ずるだけであり、組み合わせることは不可能。

 

2(リアリズム+コンストラクティヴィズム)

<コンストラクティヴィズム>

・中華思想→攻撃的

・東アジアは民族・宗教等観念が多用。→地域を包括する規範はないのではないか

<リアリズム>

上記の前提を踏まえ、意図の不確実性の高まりから攻撃的リアリズムにのっとり緊張は高まるが、平和は維持されると予想。

 

 

3(リベラリズム+コンストラクティヴィズム)

自由貿易の「自由」という観念が民主主義における「自由」という観念と結びつく。

→中国が民主化へ→東アジア平和へ

 

4(リベラリズム+コンストラクティヴィズム)

民族的なつながりから朝鮮半島を統一を目指す。

※今は経済的なつながりはない

    ↓

経済交流が深化し、安定へ

 

 

5(リアリズム+リベラリズム)

中国のパワー増大の理由<攻撃的リアリズム>

→地域覇権

アメリカは、日韓台などの軍備を増強

 

<国際レジーム論>

ASEAN+3

NPT…核戦争おきてない

 

<相互依存論>

アメリカの国際保有国1位が中国

貿易相手国1位も中国

 

 

6(リアリズム+リベラリズム)

国家は利益を求める合理的アクター

中国のパワー(軍事力・経済力)up!!

      

日米韓はバランシングしようとする

しかし、武力衝突するより相互依存する方が利益が大きいので米中の相互依存関係は続く。

また、日韓も米中を同じレジームに引き入れ、米中の仲介をする。

5/17 サブゼミ議事録

文責:森田

二回目のサブゼミではリアリズムについて要点を全体確認し、残りの時間をチューター制に充てました。

タイムテーブル

①参考文献の正式表記について説明(10分)

②リベラリズムについて要点を確認(20分)

③休憩(10分)

④チューター制にて個別質問(50分)

 

以下、リベラリズムの要点確認に用いたレジュメです。

リベラリズムの要点まとめ

 

    相互依存論

→貿易により、時刻の経済維持において他国に依存するケースが出現。

この依存関係が相互に存在するならば、戦争のリスク・コストよりも貿易利益を享受することを双方向的に優先しようとするため、戦争の回避率up!!

 

〇敏感生と脆弱性

 敏感性=景気変動などが伝わる速さ。経済交流が深化するほど高まる。

 脆弱性=依存度のことを指す。脆弱性が等しいものを「対称的相互依存」と言う。

     脆弱性に偏りがある場合は「非対称的相互依存」となる。

 

〇ゼロサムゲーム

物事の総和は±0になるという考え方

Ex.誰かが+3得したら、誰かが-3損する。

リアリストがよく用いる発想で、リベラリストはこれを否定し、win-winな関係も存在していることを主張している。

 

    国際レジーム論

→20世紀に入り、国際機関が出現した。これについて着目し利点を指摘。

”regime”→制度や体制のこと

・情報交換、交渉によって不確実性を低下させ利害調整を図ることができる。

・共通認識のもと構築した「制度」によって、一国の情勢変化に対して制約が与えられる。

→共通認識が保たれて安定がもたらされる。

〇集団安全保障

 戦争行為を避けたいという同じ意図を持った集団により初めて成立できる体制。

 戦争を開始した者に対して全体が協力してそれを鎮圧する。この体制は、戦争コスト

 を高めることで戦争を回避率を高めることができる。

 Ex.国連平和維持軍

 

 

 

    デモクラティックピース論

→民主主義という政治体制に着目して、その利点について言及している。

 

ⅰ、民主主義国家なら、国民が実権を握っている!

          ↓

  戦争によって多大な犠牲を払うのは国民。

          ↓

  戦争やりたがるわけないじゃないか!…戦争回避の根拠。

 

ⅱ、民主主義国家同士なら、戦争に踏み切ることの重大さが共有出来ている!

          ↓

  武力による、威嚇・挑発行為に信憑性。意図の不確実性の低下。

  相手国「宣言したってことはやるんだな。これはなんとかして回避しないと。」…戦争回避へ

 

ⅲ、世界がすべて民主主義国家なら、戦争なんてなくなるのに(極論)

          ↓

  今までの歴史を通して、そのような情勢が存在しないため検証はされていない。

  =もしかしたら平和になるかも。どう思われますか?

5/15 本ゼミ議事録

文責:下田

攻撃的リアリストと防御的リアリストの立場からみた東アジア情勢の今後について、各班が発表しました

 

A班
・攻撃的リアリズム
中国:覇権の獲得
アメリカ:覇権の維持
⇒両国の勢力圏で衝突
結論=エスカレーションを起こす。
・防御的リアリズム
中国…資源の補給ルートの確保のために軍拡
アメリカ…同盟国とのコミットメント維持のためにアジアシフト
結論=バランスオブパワーが維持される。

川添枠
○攻撃的リアリズム
結論=核保有国が増える
○防御的リアリズム
・中国の勢力図は大陸部と台湾
・アメリカは自国の安保を直接脅かす国家に強硬
結論=アメリカは台湾から手を引く

B班
・攻撃的リアリズム
中国…軍事力において、アメリカを超し、覇権を目指す。
日本・韓国…アメリカに付随し、安全保障を達成しようとする。
アメリカ…同盟国へのコミットメントを保つためにバランシング

・防御的リアリズム
中国…軍事力は増強する。しかし不必要なパワーは追及しない。
日本・韓国…脅威となる中国を抑えるため、中国を制度的な枠組みに引き込み、不必 要な緊張関係は避ける。

C班
・攻撃的リアリズム
中国が覇権を握ろうとする
→日本や韓国といった周辺国は安全保障を脅かされる
周辺国はアメリカと関係を組んで、中国に対抗する
結果として緊張が高まる

・防御的リアリズム
自らの安全保障が第一
中国はパワー増加に野心はないが、各国からすれば脅威の可能性
→中国はむやみなパワーは増加しない
→現状維持

D班
・防御的リアリズム
中国の軍拡は東アジアの脅威
しかし、脅威が増大するのを防ぐため、バランシングは自重
中国の脅威をとりのぞくため協力行動をとる
・攻撃的リアリズム
アメリカと中国は覇権を取るまで軍拡を続ける
周辺国は自国を守るために…
a.軍拡を行う
b.同盟を結ぶ
例)ASEANが今の経済同盟から
→軍事同盟へ
→アメリカも介入

 

○国際政治はどういう原理で動いているのか? 本質、世界観は何か?
リアリズム→権力、パワー
リベラリズム→相互依存関係
コンストラクティビズム→観念、アイデア
…国際政治理論は日々更新され続けている
…それぞれの理論は万能ではなく一つのものを見るレンズであり、それぞれの立場  をとってみて多角的に国際政治をみるとよく理解できる

5/10 サブゼミ議事録

(文責:古谷、森田)

初回のサブゼミでは、リアリズムについて全体で要点を確認し、その後二年生と三年生一人ずつを組にしてチューター制とし二年生の疑問・相談を消化する機会としました。

タイムテーブル

①レジュメの書き方のアドバイス(10分)

②リアリズム要点確認(20分)

③チューターによる個別質問(60分)

 

以下、リアリズムの要点確認に用いたレジュメです。

 

リアリズム

リアリズム…無政府世界の動きを国益やパワーから読み解こうとする理論

・最大の利点

→繰り返し起こる国際関係のパターン化された現象をより簡潔に説明できること

→できる限り価値判断を下さないようにしながら、国際関係の出来事の因果関係を客観的に説明することが何よりも重要

 

リアリズムとは何か?

①世界は無政府状態である。

②アクター=国家。国際組織や非政府組織(NGO)は、国際関係のアクターではない。

③国家の最大の目的は生存である。したがって、国家安全保障は国際関係の最優先課題となる。

④パワーは、この目的を達成させるための重要かつ、必要手段である。国家間の権力闘争は、戦争と平和をはじめ。あらゆる国際事象に影響を及ぼす。

 

無政府状態

=(国家の上に立つ権威や権力組織が存在していないこと)

 

 

主権とは…自らの意思で、領土と国民を統治する最高の権限のこと

→他国から干渉されず、

国内社会における価値の配分を自由に決定する権限

対外関係において各国政府に自国の国民を代表し、国際条約を締結する権限

 

リアリズムは、無政府状態が戦争を不可避なものにする根本原因だと考えた。

なぜ?

国家は、自国の安全を確保するために、自力で保障しなければならなくなる=自助

Ex)軍備増強、同盟

→国家は、何らかの手段で力を追求しなければ、自国の政治的な独立性を確保できない状況に置かれている。

 

しかし

パワーの追求は、防御的な意図であっても、他国にとっては無視できない脅威となる。そのため他国も、脅威から自国を守ろうとし、軍備増強をしようとする。

→自国の安全保障を確保しようとしてパワーを追求すると、他国の安全を脅かすことになり、他国もパワーを追求せざるをえなくなる。

    

「安全保障のジレンマ」

なぜ、生じるの?

「意図の不確実性」

・本当のことを言っているか分からない

・今後変化するかもしれない

・政治体制

・兵器の性質(攻撃的or防御的)

 

国家は自国の生存を至上目標としている。国家は相手がより大きなパワーをもとうとすれば、相手に追いつこうとし、さらには相手よりも少しでも大きなパワーをもとうとする。こうして、無政府状態では、国家間のパワーは釣り合いがとれるような方向に作用する。

 

「バランス・オブ・パワー」

 

パワーの分布状況により、国際システムも3つのパターンに分けることができる。

 

※システムとは?…複数の要素によって構成され、相互に影響しながら、全体として一定の機能を果たしているもののこと

①単極システム

→世界に広く影響力を行使でき、他国を圧倒するパワーをもつ大国が一国のみ存在する状況のこと=他国がいかなる対抗措置もとることができないほど、強力なパワーをもつ覇権国が存在する構造 

・単極安定論

覇権国と他の国家の力の差があまりにも大きいため、挑戦国が覇権国に追いついたり、覇権国の力を削ごうとする動機も持ちにくくなる。したがって、他国に残された選択は、覇権国に対して追随行動をとり、その分け前(利益)に預かるということになる(便乗行動(バンドワゴン))。

2極システム

→主要なアクター、すなわち世界に影響力を行使できるパワーをもつ大国が、2つ存在すること

Ex)冷戦 

2極安定論

a)アクターの対立構図が明確で単純なために脅威の所在が分かり易く、また、そのために同盟関係も安定しやすいこと

b)脅威の源泉が明確な場合は敵に対する緊張感も増すために、アクターが注意深く行動すること、c)二極システムはアクター同士の相互接触が限定されるために、摩擦が起こる機会も少なく相互に尊厳を保つことができること

 

③多極システム

→大国が3カ国以上存在する国際システム

・多極安定論

大国の数が増えれば、国際関係がより不確実になるため、国家の指導者はかえって警戒心を増し、軍事力の行使に慎重になる。さらに、大国の数が多ければ、臨機応変に同盟を組み替えることができる。結果、戦争が起こりにくくなる。

 

5/8 本ゼミ議事録

(文責:下田、森田)

〇無政府世界=混沌ではない。無政府であっても秩序は有りうる。

  国内と国際における大きな違い。

   →正当な暴力が独占されているかいないか。

   ・・・国内ならば政府が暴力を独占している。Ex警察

 

〇国家中心主義・・・というよりは「集団」中心主義。

  1648年のウェストファリア条約以前についてもリアリズムは有用。

 

安全保障のジレンマ

 …防衛的な意図(他国を威嚇する意図でなく)の軍拡が相手国には脅威に見え、相手国もその脅威からの防衛として軍拡をすることで、

  どちらの国にも攻撃の意図はないのに結果的に軍事的に緊張した危険な状況に陥ること。

  ←国家の意図の不確実性から起こる(相手の腹の底がわからない、将来性が保障されない、政治体制の違いから信用性がない)

   例)中国の発言に透明性が見られない(信用できない)ため、アメリカは中国の発言は不確実と認識する

  ←攻撃兵器と防衛兵器の性能のバランスにより軍拡競争が起きる可能性は変化する

   (攻撃兵器が勝っている場合は先手必勝の考えから軍拡競争になりやすく

    防衛兵器が勝っている場合は競争が起きにくい)

 

Q. 何故世界中に同質の主権国家が浸透しているのか。主権国家システムがこれほど世界中に浸透したのは何故?

 …主権国家においては、個人はそれぞれの自助を国家権力に委ねているため、個人個人が自分の活動に特化できるから

 

○バランスオブパワー

・国家は自国の生存を至上目的としている。自国よりもパワーが勝る国が現れたとき、その国から自国の財産が奪われる恐れ(潜在的敵国への恐れ)があるため、自国はその相手国とのパワー(軍事力など)のバランシングを図ろうとする。

 内的近郊・・・Internal Balancing(自国の軍備増強)

 外的均衡・・・External Balancing(同盟)

・バランスオブパワー理論の例外?

 →イデオロギーや政治体制の決定的な違いなどから、かならず均等なパワーのバランシングが起こるとは言い切れない。

 

○クラシカル・リアリズム…人間の本質的な権力欲(性悪説)に注目。

○ネオリアリズム…国家間の力関係の構造に注目。ウォルツが有名。

 

○モーゲンソー…戦乱のヨーロッパを過ごし、その人生観から悲観的に

 人間の本質…他者支配→権力/政治

       富→経済活動

       精神的平穏→宗教

 ☆共通の価値規範を持つ人間の集団の中では権力闘争は緩和される

 ☆異なる価値規範集団の間では権力闘争は激化する

 ・大きな価値規範集団は他者を取り込み規模の拡大(勢力拡大)を図ることがある

 

○権力とは…暴力を行使する可能性による強制力

 権力関係=財の一方的・強制的移転(無政府状態下)

 契約関係=財の交換(主権国家内で保障される)

 

○攻撃的リアリズムと防御的リアリズムの違い

・攻撃的リアリズム…パワーの極大化(世界一)を達成することでセキュリティを確保する

・防御的リアリズム…最低限相手に勝る程度のパワーに留めておいて、同盟を組むことでセキュリティを確保する。自国のみで圧倒的なパワーを実現しようとすると、他の諸国に同盟を組まれ組織的に叩かれるおそれもあるため、パワーの極大化は目指さない。

4/24 本ゼミ議事録

文責:下田

先日のRobert Kagan氏とChristopher Layne氏の論文のプレゼンから、各班がそれぞれまとめて独自の意見を出し、発表しました。

 

 

A

経済的な衰退は避けられない

 →多極化へ

But

軍事的にコミットメント維持←軍事費削減NO!!

  コミットメントの低下⇒アメリカの衰退

                           ↓      ↑       

            他極へのバンドワゴンの恐れ

              民主主義等の規模の衰退

 

 

B

    アメリカの覇権は奪われるのか?

  ☆覇権の定義(B班案)

   Ⅰ.軍事力(ハード・パワー)

   Ⅱ.ソフト・パワー

   Ⅲ経済力

     →ⅠⅡⅢすべてアメリカがNo.1の状態

     →現在Ⅲが相対的・絶対的に衰退している

 主張)中国に覇権を奪われる可能性あり

    覇権を奪われたら、Pax Americanaは存続するか?

    →既存の民主主義・資本主義体制をわざわざ崩すメリットはあるか→ない!

 主張)中国が覇権を握っても、中国はPax Americanaに似たもの(資本主義体制だけでも)を構築する

    *中国が民主主義になるかは分からない。

 

 

C

アメリカの一極支配は不可能。→多極化

経済:衰退は明らか

    ←財政赤字、リーマンショック

軍事:国防費を下げる

    ←経済の衰退

  *ただし、大幅に削減はダメ←アメリカの地位の低下

新興国:中国を始めとする台頭国のパワーが増加

     ↓

    アメリカの一極支配崩れ多極化

    既存の秩序は修正される

☆アメリカはより国内問題に目を向けなければいけない。

 →国内安定がなければ対外への信頼性も得られない

 

 

D

アメリカの相対的パワーの衰退は確認できない



アメリカ主導のシステムは維持される

新興国(中国)が米国に代わって役割を果たすことは不可能

 

森田枠

覇権維持=秩序維持

秩序→規範の正当性の高さ

    →軍事力(←経済力)

覇権維持は、アメリカの相対的パワーの規模にのみ依存

覇権維持の可能性

 

 

<発表後の補足>

覇権…国際公共財を提供する意思と力を持っていること。

国際公共財…国際社会において各国が個別の対価を支払わずに使用できるもの(海路など)。

 

○覇権があれば秩序が安定する?←大恐慌時の金融理論から

バランスオブパワー理論…力と力のけん制で秩序が安定する

↓崩壊

覇権安定論

例)ガキ大将がいるクラスといないクラスでは、ガキ大将がいる方がクラスの秩序が保たれる

・ガキ大将がいると、クラスを無理やり一本化させる

・いないと、みんながみんな自分のやりたいことを主張してバラバラ

 

 

☆今回のテーマでは、アメリカが衰退するか否かの他に、もう一つ大きな論点がある

アメリカの繁栄の源は国内にあるか、国外にあるか

レイン…覇権を維持すると国内が疲弊する。国内問題によって疲弊しているのだから、国内問題を優先すべき

ケーガン…覇権によって得るものと覇権によって放棄するものでは、覇権を失うほうが繁栄の源をより放棄することにつながる。

 

○アメリカ的価値の推進主体はアメリカのみなのか?

    …()ヨーロッパ諸国が人権について声をあげるときが多々ある

     ↓

    Pax Americanaの主要アクターはアメリカの他にもいるのでは

 

Pax Americanaが衰退した場合、世界秩序になにが起こるか

→諸外国がアメリカに依存することが減る

    ↓

      それぞれがアメリカとの関係よりも国内事情をより優先するようになる。

      各国が「わがまま」を主張することが多くなる

→アメリカがいままで介入していた紛争、ジェノサイドなどの人権違反の行動が放置される恐れがある。

4/17 本ゼミ議事録~文献二本目~

本日は、二本の英語文献を三年生がレジュメにまとめ、パワーポイントで発表しました。

以下に二本目の文献内容をまとめたレジュメをアップします。

2012.1.17

The New Republic

 

Not Fade Away: Against the Myth of American Decline

 

ロバート・ケーガン

文責:小瀬・柿沼・川口・久保木

 

2012.1.24 一般教書演説にて


アメリカは衰えている、影響力が弱まっているなどという人は、

自分が何を言っているのか分っていない


 

バラク・オバマ

↑ケーガンのこの記事に影響されたもの

 

u  現在の国際秩序…かつてないほどの数の民主主義国家で形成

アメリカの原理や好みを多く反映

アメリカの政治的、経済的、軍事的なパワーによって形成・保持

 

もし、アメリカのパワーが衰退したら、それは同時に、現在の国際秩序の衰退を意味する

→別の国際秩序に取って代わる

                  現在とは全く異なった世界の誕生

→単に崩壊する

 

例えアメリカのパワーが衰えても、

もともとの基盤である自由主義的な国際秩序は存続し続ける


 

ジョージ・アイケンベリー

 

u  アメリカの衰退に対しての評論家の分析

・アメリカは方法を失った

・かつてアメリカを成功に導いた美徳を失った

・直面する問題に対処する意志を失った

アメリカは今、自国より経済状況の良い国、

そして、自国がかつて持っていた力強さを持った国々に目を向け、

トーマス・フリードマンの最新の著書「that used to be us」のように

私たちもかつてそうだったと嘆いている。


 

u  アメリカの衰退が認識されている理由

・リーマンショック(2008年)以降の暗い経済状況

・国家の財政赤字

・中国、インド、ブラジル、トルコや他の国々の経済成長

→国際的な経済パワーの変遷の前兆

 

※悲観論者の中には、9.11に対するアメリカの様々な対応が、アメリカの支持・影響力を失ったと考えるものもいる

Ex.テロリストの疑いのあるものを収容しているグァンタナモ留置施設

イラクへの侵攻(2003年)

→アメリカのブランドを汚し、アメリカのソフトパワーを低下させた

現在のアメリカの状況を19世紀末の大英帝国になぞらえる人もいる

イギリスの課題…ボーア戦争

アメリカの課題…イラク・アフガニスタン間の戦争

 

 

u  アメリカの衰退をさらに強く認識させた理由

・アラブやイスラエル…アメリカが懇願したにもかかわらず、平和の構築を拒否

・イランと北朝鮮…核兵器計画の廃止要求を無視

・中国…通貨の引き上げを拒否

・アメリカの手に負えないアラブの動乱

→アメリカが世界を主導し、他国に命令を下すことの出来る時期はもはや過ぎ去ったということを証明する出来事が毎日のように起きている

 

u  パワーの指標とは何か

・他国と比較した場合の経済の規模と影響力

・潜在的な敵と比較した場合の軍事力        総合国力(Comprehensive National

・国際システムに及ぼす政治的影響の度合い                 Power

 

しかし、ここ数年の出来事だけで判断するのは問題がある

偉大なパワーの衰退…長い時間の中で起こる国際的なパワー分布の変化によるものであり、突如として衰退するものではない

 

u  大英帝国の例…大英帝国の衰えは数十年の時を経てやってきた

≪世界の製造業におけるイギリスのシェア≫

1870年…30%以上

1900年…20

1910年…15%以下

1910年時のこの値は、当時台頭中のアメリカ、ドイツよりも低い

 ドイツは19世紀、イギリスよりも遥かに遅れていたが、20世紀の最初の10年でイギリスに追いつき、勝っていった

 

≪海軍力の低下≫…制海権の喪失

1883年…世界一の戦艦保有国(他国のすべてを合わせても勝てないほどの規模)

→ドイツ海軍の台頭により、1897年までにその支配は崩れた

 

u  2008年の経済危機に関しての意見

‘早合点は禁物’…景気後退や、厳しい経済危機は、偉大なパワーの終焉への始まりを意味しない

Ex.アメリカは1890年代、1930年代、1970年代にそれぞれ経済危機に苦しめられていた

が、どの場合も必ず次の10年で立ち直り、さらには、経済危機の前と比べて、他国よ

り強いパワーを有する

 

u  ここ何年かにおけるアメリカに対しての見方の変化

数年前まで、アメリカの衰退を唱える者はほとんどおらず、むしろ、アメリカの不朽のパワーについて議論されていた

アメリカと他国のパワーが

これほどまでに不均等だったことはいまだかつてない

 


 

ポールケネディ(2002年)

軍事面、経済面、技術面、文化、政策能力等々において、

これほどまでに恐ろしい力を持った国は他にいない

このようなアメリカの優秀なパワーは先例がない



 

アイケンベリー(2002年)

ローマ時代から見られたものとは違った単極支配構造を享受している


 

ファリード・ザカリア(2004

→しかし、ほんの4年後、ザカリアは「Post American World」と「the rise of the rest」を出版、そしてケネディは、アメリカの衰退は避けられないと演説した。

 

u  アメリカの相対的なパワーはたった数年の間にそんなに劇的に変化したのか?

→答えはノーである

 

上記に述べたパワーの指標から考えてみると…

≪経済面≫

近年の不景気と経済成長の低迷にもかかわらず、アメリカの世界でのポジションは変わっていない。GDPも過去40年以上前から安定している。1969年には、アメリカは世界の約1/4の経済生産高を記録し、今日まで続いている。

人々は世界経済のシェアが着々と上がってきている中国やインド、その他アジアの国々の台頭に魅了されている。しかし、これはかつてのヨーロッパや日本もそうであった。今現在は、これらの国の世界経済も衰退してきている。

 

※楽天家による中国の発展予測

中国はこの先20年以内にアメリカを抜き、経済的にトップにたつが、中国は無期限的に国家の成長を持続させなければいけないという大きな障害に直面するだろう。また、1人当たりのGDPに関してはアメリカやヨーロッパには遥かに及ばないだろう。

 

≪軍事面≫

軍事力の強さはヘゲモニー(覇権)を意味する


 

Yan Xuetong

アメリカの相対的な軍事力は決して衰退していない

Ex.アメリカの国防費…600億ドル以下(他国のすべてを合わせても勝てないほどの額)

※イラク・アフガニスタンに対する戦闘費は含まず

   →年間GDP4%足らずしか使っていないのに世界随一の軍事大国である

また、アメリカの陸軍・空軍・海軍ともに最新の武器を装備しているし、実際の戦闘で鍛えられているから、どんな競争相手でも直接対決で打ち負かせるだろう。

 

少なくとも、軍事面・経済面において、今日のアメリカと、皇帝の力が衰退し始めたことが明白となった1900年のイギリスは、ほんのわずかも似ていない

むしろ、1870年の皇帝のパワーが絶頂だった頃に似ている

 

u  rise of the rest とは何か?

・中国・インド・ブラジル・トルコのような経済的に勢いのある国々のこと?

・これらの国々はアメリカには勝てないのか?

→世界の国々が経済成長の時代を享受しているという事実は、アメリカのパワーの衰退、また、他国がアメリカのすべてのパワーや影響力に追いつくということを意味しない

Ex.ブラジルのGDP1990年に2%強であったが、それは今も変わっていない

   トルコのGDP1990年に1%以下であったが、それは今も変わっていない

人々、特に実業家は上記のような新興市場に興味を示しているが、

国家が投資において魅力的であるということは単に、

偉大なパワーであるとは限らない

また、経済的な成長と国際的な影響力の間に単純な関連性はない

Ex.今日のインドが、

今より貧しく、非同盟運動のリーダーだった1950年代ネルー下のインドより

世界に対して影響力を及ぼせるかは定かではない

 


 


 

u  アメリカのポジションはどの国が台頭してくるか次第で変わる

≪大英帝国の場合≫

20世紀初頭、アメリカなどの友邦国とは利権の問題もなく上手くやっていた

しかし、ヨーロッパ大陸での優位を目指すドイツとぶつかってしまった

 

≪アメリカの場合≫

上記のような新興国より、

冷戦時のドイツと日本の急速な経済成長がアメリカの優位を脅かした

Ex.アメリカのGDPは第二次世界大戦後は50%近くあったものの、1970年代初期には約

25%まで下がり、現在もそのような状態が続いている

新興国はアメリカを弱らせない

むしろ、アメリカを強くしてくれる

また、ドイツや日本などの親しい民主主義国家も

このアメリカ主導の国際秩序では大きな要となる


  

 

ブラジルやインドは両国とも友好的であり、特にインドに関しては、ますます戦略的パートナーとなるだろう。もし、アメリカの将来的な競争相手が中国であるならば、より裕福で勢力のあるインドはアメリカにとって強みである。

現在、中国の経済成長に限っては、アメリカの将来的なパワーに影響を及ぼすのではないかという憶測があるが、それは、中国がその十分な経済的勢力を軍事的勢力に移行したときである。

 

Ⅱ                                  

 

国際システムの複雑性の高まり

⇒アメリカが自らの利益と理想の為に世界を形造ることはもはやできない

では…

アメリカの影響力は以前よりも低下したのだろうか?

今日のこうした考えは郷愁的な誤りに基づいている場合が多い

 

かつて(冷戦初期)アメリカは世界を形づくってきた

Ex)マーシャルプラン、NATO、国連、プレトン・ウッズ

「ほぼ全世界の政治、経済、安全保障を管理できた」(スティーブンMウォルト)

しかし…

冷戦初期にはこれらの偉業に匹敵する大きな妨げがあった

・中国での共産党による革命

・北朝鮮による韓国への攻撃

・ソ連核兵器保有によるアメリカの核独占に基づく軍事戦略の終了

 

 

NSC-68(戦略文書)はアメリカの軍事力と世界戦略とのギャップが開いていると警告

1957年ソ連経済はアメリカ経済よりも遥かに早いペースで成長しており1959年までにソ連が100の大陸間弾道ミサイルでアメリカ本土を攻撃できるとGaither委員会が報告

 

同盟国さえもアメリカの望むようにできなくなった

・アチソンは欧州諸国が共産党中国を認めることを防ごうとして失敗

・アイゼンハワーはジュネーブ会議においてベトナムに関する議題を思うように

進められずに最終的な協定への調印を拒否

・スエズ運河を閉じたエジプトへの英・仏・イスラエルの侵攻を防ごうとして失敗

・金門、馬祖島で中国と対決した際に欧州の支持を取り付けようとして失敗

 

「ソフトパワー」…ジョセフSナイが提唱

⇒アメリカが常に望む世界を手に入れることができたのは、アメリカ文化がテレビ、映画、音楽に反映される「表現される文化」であり、これらが他国の人々にアメリカを模倣し、追従したいと思わせたからである

 

WWⅡ後の30年間世界の大部分はアメリカを賞賛せず、模倣もせず、国際問題に対するアメリカの行動にも好感を持っていない

 

アメリカメディアは必ずしも良くないイメージも広めた

・共産党員を捕まえる国務省

・息の詰まるような資本主義的順応主義

1950年代(朝鮮戦争)、1960年代(ベトナム戦争)に起こった分離戦争

・黒人差別

・ワッツ暴動、キング牧師・ケネディの暗殺、ケント・ステイトの銃撃

第三世界におけるアメリカのイメージを破壊

 

 

この間のアメリカ外交

・イラン、グアテマラでのクーデターをCIAは傍観

・ソ連上空でアメリカ偵察機が撃墜され、フルシチョフがサミットを中止

・アイゼンハワーが日本政府からアメリカ帝国主義を批判する学生から安全を保障できないと伝えられ帰国

・ジョンソンによるドミニカ共和国への介入

→ラテンアメリカ諸国のみならず、欧州の同盟国からも批判を浴びる

 

世界の多くの国々はアメリカを模倣しようとしなかった

・冷戦初期にはソ連、中国による民主主義の面倒な問題なしで成長が約束される管理経済システムに多くの国が魅力を感じた

・第三世界の多くの国の指導者はソ連システムの方がアメリカシステムよりもより速く結果を出す方法だと考えた

  Ex)ナセル(エジプト)、スカルノ(インドネシア)、ネール(インド)…

 

スターリンの死後ソ連と中国は第三国の囲い込みにより積極的になっていった

⇒アメリカも第三国への開発援助を積極的に行う→失敗

 

 

1960年~冷戦の終結まで国連総会は恒常的に反アメリカの集まりとなった

1960年後半

キッシンジャー「力の分裂が増え、政治活動の拡散が多くなればなるほど、国際紛争と国際協力のパターンは複雑になる」

この時起きていた事

l  アメリカはベトナムでの敗戦から目を逸らしていた

l  世界はスキャンダルにまみれた最初のアメリカ大統領の辞任を見た

l  石油価格の高騰

 

新しい問題の重要性

アメリカは中東に影響を及ぼす能力がない

エジプトとシリアがとイスラエルに突然の攻撃をした事はワシントンにとっても驚きの事であった

→アメリカは核の警告をもってして、ソ連に介入を思いとどまらせなければならなくなる

→石油の制限→OPECが設立

歴史家Daniel Yergin

「世界最高のスーパーパワーは防衛力となり、小国によって恥をかかせられる。」

 

1970年代

石油の高騰とベトナム戦争時代の経済政策によりアメリカ経済は大変厳しい


  1. 1.      GNP19731982 6%ダウン
  2. 2.      失業率       4.5%から9%
  3. 3.      スタグフレーションの発生

 

1970年代のアメリカ経済

どん底、貿易赤字、受給総額をは全て使い、社会福祉問題は膨らみ、金と通貨の蓄えも消えた

1979

革命によりイランのシャーが転覆。52人のアメリカ人が人質にとられ一年以上拘束される

 

経済危機が招いた政策の不安定さ


  • Ø  ソ連の歴史の波

ソ連のリーダーは「力の相互関係」を信じていた

アメリカのベトナム戦争の敗戦から目を逸らすことはソ連の政府に冷戦はソ連の勝利であると信じさせる事に繋がった

→しかし二年内にベルリンの壁は崩壊し、さらにそこから2年でソ連も崩壊

 

日本のミラクル

1970年後半から始まり15年続く

韓国、シンガポールとともに『アジアの虎』へと成長

1989年 ジャーナリストJames Fallows

「日本は、より自由放任主義で資本主義のアメリカより優れていて、次のスーパーパワーを持つ国」

1995年 アナリストChalmers Johnson

「冷戦は日本の勝利で終わった」

→この時未だ回復しない不景気に日本が差し掛かっていたのにも関わらず

 

アメリカが突然の「ソロパワー」という言葉を使用

この時アメリカはまだ多くの問題に対処している所だった

アメリカは湾岸戦争に勝利→NATOを東に拡大→バルカンに平和をもたらした(犠牲多)

ワシントン・コンセンサスへ

 →1997年のアジアの金融危機を崩壊=アメリカの行ったことは間違いであったとされる

イラン・北朝鮮の核問題でも失敗

サダムフセインのイラクも無駄になりその後崩壊。

ルワンダの大虐殺を止められず→その間アメリカはソマリアに介入

 

1990年代のアメリカの一番の試み

 ロシアを民主的かつ、自由市場に誘うこと

しかし→アドバイスをし続け、何十億そそいだのにも関わらず、思い通りにはならなかった

 

アメリカの良いリーダーというものは、どんなに良い時でも存在しない

Ex)イスラエルとパレスチナの両者の問題解決に尽力したクリントン政権の成功でさえ、パレスチナのインティファーダの始まりにより平和が崩壊により失敗となされる

 

1999 サミュエル・ハンチントン

アメリカを「孤独なスーパーパワー」と定義

→「でしゃばりで、介入主義で、搾取的で、単独主義的で、偽善的」

 

フランス外交官

「ハイパワー」と「多極」を叫ぶ

 

→世界におけるアメリカの支配はもはやない

 

イギリス外交官

「アメリカのリーダーシップはアメリカの中だけにしてほしいという世界の望みも、アメリカの不当と単独主義についてももう目にしている」

 

しかしこれらはナンセンス

イギリス外交官に対して

多くの国々は1990年代と冷戦時代のアメリカのリーダーシップや保護政策、サポートを見てきている

アメリカの世界に対する影響が全能ではなかったという事

 

まとめ

n  アメリカはベトナムよりイラクで成功

n  1990年代、イランの核を止められなかったが、より効果的な世界の核不拡散のネットワークを作った

n  アルカイダを破壊した成功

その間

²  西欧におけるアメリカの同盟は変化なし

²  西欧自体の弱体化

²  アジアとの繋がり強化

²  インドとの繋がりは特に

 

アメリカが今以上に影響力を増す日も減らす日もあるだろう

外交政策というものは野球の打率のようなもの

70%失敗したら、それは大成功だ

 

今日の課題は重要なことではあるがアメリカが冷戦時代に直面した課題よりも困難なものではない

 

・冷戦時の課題

ソ連の存在そのものが脅威→アメリカは無秩序に対処し続ける必要があった

具体的には:地域ごとの勢力(国家)とのアライアンス(同盟、連携)の形成と

その国家への経済的、政治的、軍事的援助

 

Walter Lippmanはこの対応をソ連に対して戦略的イニシアチブを譲歩し、さらに無益な衛星国をつくろうとして財産を使い果たしたと強く批判

 

・今日の中国のケース

中国は冷戦時のソ連よりもはるかに豊か

世界の中での巨大な経済的影響力

しかし

→地政学的位置が不利+隣国に米の同盟国+米国が海路優位&第二次世界大戦の影響

→中国がアメリカを東南アジアから追い出す米国が現状を維持する

 

 

◆アメリカは世界秩序を主導する立場を維持できるのか?

Paul Kennedyの警告「権力の過剰拡大は適切ではない。」

 

米国の抱える課題

財政危機、行詰まりの政治体制、アメリカ社会の様々な弊害、教育システム、インフラの悪化

 

 

   世界の形を維持することよりも国内に集中すべきという人々の主な理由でもある

 

・アメリカの疲弊

世界各地に展開している米国の軍隊
1953 100万人(韓国32,5万、ヨーロッパ・アジア他60万人以上)
1957 75万人以上
1968 100万人以上(ベトナム53,7万人、他50万人)
2011 50万人(イラク・アフガニスタン20万人、ヨーロッパ・東アジア16万人、他)
1953年時アメリカの人口約16000万人、現在約31300万人)

・財政費用について

 「将来の赤字の原因は上昇する防衛費が原因ではなく海外援助費が原因である。防衛費

の厳しいカットは米国の直面している年間赤字の4%~8%の節約にしかならない。」

Alice Rivlin

また

アメリカの現在の覇権の維持にかかるコスト<アメリカの現在のポジションを失うコスト

 

例:国際経済秩序の崩壊、貿易ルート・海路の安全、巨大な国家間での戦争の可能性、   国際システムの不安定化など

 

→これらのコストを回避することは国防費、海外援助予算を削り年間100億ドル節約することよりもはるかに重要

 

 

過去のアメリカの課題

奴隷制度、北部による南部改造、19世紀末の産業の混乱、大恐慌時の社会福祉の危機

1970年代(ウォーターゲート事件、ベトナム戦争、スタグフレーション、エネルギー危機

 

→現在のアメリカの直面する課題は比類ないものだとは言えない

 

アメリカの体制は他の国家よりも困難に対して順応し回復する大きな能力がある

保証はないが歴史から見て、多くの大きな問題と解決する方法と国内世論を満たす方法を見つけてきた

 

Paul Kennedy氏はアメリカの超大国としての成功の継続の理由の一つに長期的な経済危機を克服したアメリカ人の能力があると述べている

 

→現在抱えている課題はむしろアメリカに繁栄をもたらす可能性すらある

 

しかし

アメリカ人が自分自身でアメリカの衰退は不可避であると納得してしまう可能性、国内の秩序を形成する間グローバルな責任からタイムアウトする可能性有

 

→無意識に1900年代の豊かで勢いがあり、世界秩序のための責任を負ってなかった頃へのあこがれがあるため

 

「米国の衰退は選択肢の一つである」 Charles Krauthammer

 

アメリカがいつどのくらいの期間をかけて衰退しようがそれはなんにしてもアメリカ人と世界秩序の両方にとって重大な問題となる

4/17 本ゼミ議事録~文献一本目~

 

本日は、英語文献二本を三年生がレジュメにまとめ、パワーポイントで発表しました。

 

以下に一本目の文献内容をまとめたレジュメをアップします。

 

 

2012/04/17

This Time It’s Real: The End of Unipolarity and the

Pax Americana

Christopher Layne

(文責:小跨、齋藤、土手内、古谷、森田、陸)

1.Introduction

Unipolar Stability Theorists

 

 

リーマンショック以前

-国際政治における米国の一極構造と必然的な覇権は遠い将来にわたって続く

リーマンショック以後

・米国務長官Hillary Clinton

-今後数十年間米国のリーダーシップが続く基礎を築くことになるNew American Momentの到来を宣言(2010)

⇒多くの学者も依然今後の米国一極構造と覇権を予想(Brooks and Wohlforth 2008; Zakaria 2008; Norrlof 2010)

・米国覇権終焉論者

-たとえ米国がパワーの優位性を失ったとしても、第二次世界大戦以後の米国が創った国際秩序であるPax Americanaは続く(Ikenbery 2001, 2011)

 

 

 

 

Christopher Layne

 

 

(主張)

米国の一極支配は終焉し、Pax Americanaも急速に衰退している

(論拠)

リーマンショックの2つの影響

1.中国の急速な成長に代表されるWestからEastへの富とパワーの移動

2.経済・財政基盤における米国の優位性に対する疑い

 

Gilpin等によって提唱された1980年代の米国衰退論を再検討し、リーマンショックが衰退論者の正当性を立証したことによって現在の一極支配の終焉を示唆

⇒米国が経済や財政といった重要基盤の優位性を失った時、すなわち米国が覇権を失った場合でさえも、国際機関や規範などPax Americanaの正当性を担保することによって、民主主義や自由貿易といった国際秩序の基本的且つ重要な部分を永続させることが出来る、という米国覇権終焉論者の主張を検討

 

本稿の構成

 

1.冷戦後の一極支配構造はいつまで継続するのか?

2.どの程度中国の台頭がUnipolar Stability Theoristsの主張を弱体化させるのか?

3.米国衰退の引き金である経済・財政基盤への考察

4.Pax Americanaは米国が覇権を失っても存続するのか?

(文責:小跨)

 

2. The External Driver of American Decline: The Rise of New Great Power

 

①アメリカの衰退:国際社会の中での大きな関心事である

 →経済力は欧州大西洋中心から新興国地域rising great and regional power(経済学者の言う”emerging market” nations)にシフトしている

Ex:中国,インド,ロシア…インドネシア,トルコ,韓国,ブラジル,南アフリカ

 

●世界銀行 2011.5 レポート

 中国,インド,ブラジル,ロシア,インドネシア,韓国の6つの国は2011年から2025年の間に世界の経済成長の1/2を占めると発表

 

Great powerの台頭→Unipolarity(一極体制)の終わり

Great powerが台頭しているかを見極める重要な二つのポイント

1)世界でのGDPの成長率

2)世界でのGDPのシェア

⇒これらを念頭に置くと、国際システムが急速に多様化し、アメリカが相対的に衰えてきている事は否定できない

⇒さらに、中国が世界経済の中心となってきて、地政学的にも重要な位置にある

 

※中国は冷戦後からどのようにすればgreat powerがアメリカに挑戦出来るかを考えてきたと著者は述べている

 

③中国の鄧小平の経済改革が始まってからの姿勢

 →国際政治の中で低姿勢を取り、アメリカや自国の周辺諸国との対立を避ける

 

 

●現代になるにつれて

 →アメリカ主導の国際秩序に対立はしないでいた

  「平和的台頭」を目標としてきた

 しかし、中国が現行の国際秩序に参入することは、長期間の意向ではない

 

・中国の長期目標≠裕福な国になる

→東アジアのアメリカの覇権地域に張り合えるのに十分な軍事力を得ることも含まれている

・中国が自信をつけた事は2010年の外交政策からもうかがえる

 

④客観的に見ても中国の台頭と相対的なアメリカの衰退は確認できる

IMF-世界のGDP15%を占める中国は2014年までにアメリカの18%を塗り替えると発表

Goldman Sachs(2003)-中国は2041年にアメリカを凌ぐ世界的な経済大国になる

 Goldman Sachs(2008)-中国は2028年に     〃

 

しかし、最近は中国がアメリカを追い越すのは2028年よりも早いと予測されている

 

<中国がアメリカを超す経済大国になると予測される年>

 

・さまざまな機関が中国が経済大国へとなる年を2010年代後半から2020年代前半と予測

Arvin Subramanian氏(Peterson Institute for International Economics)によれば中国はすでに世界1位の経済大国になっている

         ↓

中国がすぐにアメリカに追いつき、追い越すのは明らかである

 

⑤中国がアメリカに代わる大国になろうとしているのには経済よりも重要な地政学的な意図がある

 ↓

新興国の台頭にはパターンがある

 

1)新興国の台頭には地政学的な不安定さがある

19世紀後半から20世紀前半にかけての二つの世界大戦も似た状況

 

2)新興国が裕福になった時、その国の政治的な野心は増大し、その国の経済力を基盤とした軍事力強化へと転換する

→中国はすでに軍隊の近代化と強化に取り組んでいる

3)新興国は自国の支配力が効く地域を得ようとする

→中国とアメリカは東アジアで衝突する

 アメリカは1945年からこの地域で指導権を持っているが、力をつけた中国は自国の勢力圏にしたいと考えている

 

4)新興国は国際的な経済的・政治的影響力を得ると、戦力投射能力を得てその影響力を守ろうとする

(文責:齋藤)

 

 

3. Revisiting the 1980s’ Debate on American Decline : The ‘‘Declinists’’ Were Right

.アメリカの下落に対する恐れから囲まれたのは今回が初めてではない。

Paul Kennedyが書いた‘The Rise and Fall of the Great Powers’によるとアメリカは1950年代に下落の‘Fifth wave’を経験したと述べ、強大国の下落をいい出し、大きいセンセーションを起こした。

(原因として冷戦から弱くなったアメリカに対する大衆の恐れに合ってからのである。)

 

 

.1980年代に悲観論者たちはアメリカが悲劇的で急速{きゅうそく}な下落にむかっていることをよく主張しなかった。

-悲観論者たちは、国内政策や経済関係者たちに対し、力のグロバール分配の中でアメリカの経済力の下落と手段創造が原因であり、アメリカの経済の中での根本的な構造の弱点が原因で遅いスピードで苦しくなると主張した。

-また、悲観論者であったKennedyはアメリカの位置のゆっくりで平らな関係の衰退のため、‘MANAGE’が必要であることをいった。

 

 

.1980年代当時に指摘された悲観論者は先を見通した。

ある経済悲観論者だちは今の時代多すぎる消費と十分ではない節減である。

(例え、続けられている貿易と現在の当座勘定、連邦予算{れんぽうよさん}低下など。)

 

.1980年代以降、悲観論者たちはアメリカの地政学{ちせいがく}的な支配や経済の繁盛は衝突{しょうとつ}すると いった。

 

.Grate Recessionは起き、アメリカを含んだグローバル経済はその危機を脱してはない。

 →これをGilpinと他の悲観論者たちは警告している。

 

.もしアメリカは約20年前の危機を経験し、現在は改善されてかもしれない。

 -しかし、今アメリカのメインは地政学と経済のライバルである。

(例え、ソ連の解体や日本の1990年代の経済バブル危機)

 

7.1990年代以降悲観論がなくなったアメリカが楽観的な勝利主義が見られる。

-それどころか、‘単極の瞬間’と‘歴史の終わり{たんきょく(せい)}’は脱冷戦世界でのアメリカの力と  そのイデオロギーが全部変わることは出来ないことを確認できる。

(文責:陸)

 

 

4. Domestic Drivers of American Decline: Debt, Deficits, and the Dollar’s Uncertain Future

 

アメリカ衰退の指標の1つ:アメリカの経済・財政問題

◎注目すべき点としてアメリカの急増する国債国際準備通貨としてのドルの将来性への疑いがある。

→現在から2025年までの間に大きくのしかかる借金とドル危機は、ほぼ確実にアメリカを戦略的に弱らせ、海外への軍事コミットメントを低下させるだろう。


浮かび上がるアメリカの財政危機の原因は複雑である。

 

良い出発点として現代の列強は国家安全保障国家であり、福祉国家でなければならない。

Wolfers 1952

国家というのは大砲とバターを提供しなければならない。

・大砲…外部利益を守り、促進させるための軍事能力

・バター…国民の繁栄を確保し、公共財を提供するための政策(ex, 教育、年金)

軍事と経済の両方を安定させなければならない

→アメリカは軍事と経済を両立させることができた。なぜなら、国際経済での覇権的役割を担っていたからである

=国際システムでの準備通貨としてドルがアメリカを他国ができない方法での生活を許していた。

いままではアメリカが債務を返し、コントロールできないインフラによってドルの価値を落ちないだろうと、他国が信頼していて、ドルを保有しようとした。そして、アメリカは海外からお金を借りて、外部への野望(guns)や、国内への社会経済計画(butter)に出資することができていた。


 


 

しかしながら      

 

2008年以後、連邦政府支出が行き渡る劇的な政策がとられない限り、アメリカの国債を返済し、インフラをコントロールする能力に対しての疑念を出てきた。

 

負債額が増大する原因

①大恐慌

②給付金制度のコスト

③イラク・アフガニスタン戦争のコスト→税金からよりも海外から借金をして出資をしている

連邦政府支出(国防費、イラク/アフガニスタン、給付金制度)の合計の費用が原因で

Ex)

1兆円もしくはそれ以上の財政赤字になり、アメリカの至上最も高い対GDP比の国債の比率に達する。(連邦議会予算事務局、CBO 2009

・もし、アメリカが今の財政軌道を続けていたなら、政府予算の対GDP2020年までに100%に到達する。(CBO

・アメリカは2016年には対GDP比の国債の比率が100%に達するだろう。(IMF

 

 

 

もしこれらの見積もりが正しいならば…

 

次の10年間で増加するアメリカの国債は、アメリカの借金を返済し、インフラを抑制できる能力に対する海外投資家の信頼を低下させるという点に関してドルを危険にさらす可能性がある。

 

信頼を低下させたくない理由として

→アメリカは超過支出と個人の消費に出資をし、そして、国際経済システムの準備通貨としてのドルの立場を維持するために海外からの資本の流れに依存しているからである。

 

 

つまり、アメリカの地政学的優位性はドルの準備通貨の役割に依存する。

ドルの準備通貨としてのステータスはある種の特別な‘クレジットカード’とし機能している。実際に、アメリカは支払いのためにお金を稼がなくて済んでいる。むしろ、支払期日が来たときは、アメリカは海外から資金を借りるか、貨幣を増刷して対処しているのである。

 

もし、このクレジットカードが使わないとしたら

 

アメリカは税率と金利を上げたり、消費を少なくし、貯蓄をし、債務を減らし、そして、大胆に軍備や国内支出を減削することで、浪費する外と内への野心のために支払いをしなければならなくなる。

 

 

・ドルの長期的安定性についての疑問は大恐慌の前から存在するけれども、2007年から2009年までの出来事が2つの点からそれらの疑いを拡大させた。

①国際経済の他の大きなプレーヤーの出現

→中国のような地政学的ライバルや欧州のような曖昧な同盟国がなっていて、これらの国はそれぞれが野心を持ち、またソ連の脅威からのアメリカの保護はもはや必要としなくなった。

②ドルが不安定な将来に直面していること

→中国はアメリカの財務への自制のなさを心配している。また、外貨として大量のドルを保有しているが、ドルに対しての信用性を低下させてきている。むしろ、人民元を‘国際化’し、新たな準備通貨にしようとする動きも見えてきている。

 

→近い将来、アメリカは海外の貸し手へ、急なインフラは起こすことなく、債務を返還することができると保証することでドルを守らなければならない。これには予算削減、給付金削減、増税、そして金利の引き上げといったことが必要となってくる。

 

 

・また、年度予算の軍事費の総経費の内訳で、軍事予算が大部分を占めているために軍事費を削減しなければならない。高いレベルで支出しているため、軍事支出の急速な削減をしなければならないという国内の政治的圧力はきっと増してくる。

 

 

From CBO Website, 2011

アメリカが税金と支出についての選択をしなければならないときが訪れたら、多額の国防費がのしかかってくる。そのために、増税、軍事費以外のコストの削減、軍事費自体のコストの削減をしなければいけない。

2011年春 オバマ政権 国防費の削減を宣言した

しかし、膨大な国防費の削減は次に1015年の間で、アメリカは海外への軍事コミットメントを低下せざるをえない。そして、2つの結末が待っている。

①中国や新興国はアメリカとの軍事ギャップを埋める

②地域安定者・公共財の守護者としての能力の低下

 


 

 

(文責:古谷)

 

5. The End of Pax Americana

 

覇権安定論  軍事面:重要な地域を安定させ、世界的共有地を守る

       経済面:世界公共財を提供し、国際経済の流動性を支える

 

アメリカは衰退を始めており、覇権国としての責任を果たすことが困難になりつつある。

 

アメリカについての分析

軍事面…未だに圧倒的なパフォーマンスを維持。しかし、縮小が始まっており財政危機が

ひとたび起これば、更なる削減は避けられない。

 

経済面…覇権国として拠り所となるどころか、サブプライムローン問題を引き起こして、

経済危機に追い込んだ上に、世界で最も負債を抱えている状態である。

→もはや経済的には「覇権国」であるとは言えない。

 

アメリカ経済は世界経済を健全な状態に戻すにはあまりに弱々しい。

2009年のG20会議においてオバマ大統領は

「アメリカはもはや世界における最大の市場ではない。世界は中国に目を向ける必要がある。」と発言。

(文責:森田)

 

 

6. After Unipolarity: Can the Post-1945 International Order Be Preserved?

 

問題提起:

 中国の台頭、一極支配の終焉、そしてアメリカの経済的かつ財政的困難はパックス・アメリカーナにどのような影響を与えるのか?

→■Ikenberry (2001, 2011), Zakaria (2008), Brooks and Wohforth (2008)をはじめとする有名な学者の見解:

「アメリカはパックス・アメリカーナに必要不可欠な要素、すなわちその制度、ルール、そして規範[1]を“閉じ込める(lock-in)”ように行動することで、将来における一極支配の喪失を乗り越えることができ、その結果一極支配は保たれる。」

+

Ikenberry (2011:348)

「アメリカが覇権国でなくなった時、アメリカは将来における自国の利益を守るのに適した国際的枠組みを今日のように設置するべきである。」

しかし、これらは説得力にかけるものである。

 

 

Why?

 

【理由①】

 大国の軍事と経済的地位の間に重要な関係がある一方で、その国の名声とソフト・パワー[2]の間にも他方で重要な関係がある。

アメリカの一極支配の衰退はある問題を我々に突き付ける。



アメリカは戦後の国際秩序[3]を改革するにあたって、その先導を行う権限を持つことはできるのか?

 パックス・アメリカーナはアメリカの自由主義的イデオロギーを世界に広めるために計画されたものであり、政治的、経済的、そして社会的発展をもたらす唯一のモデルとしてその普遍性を主張した。



 しかし今日、1990年代に「ワシントン・コンセンサス」として知られていた自由貿易や自由民主主義といったアメリカモデルは、いままさに「北京コンセンサス」という代替モデルによって、その地位を侵されつつある。(Halper 2010)

+

 さらに、世界金融危機はアメリカの自由主義モデルの信用を失墜させた。

 アメリカは国際秩序の改革を先導するための信用性と正統性を保持することができるのか?

→■Financial TimesのコラムニストMartin Wolfの見解:

 「中国が繁栄する一方で、この西洋的財政システムの崩壊は、“一極支配の時”に屈辱的汚点をつけることになる。西洋の政策決定者が奮闘しているように、彼らの信用は失われた。誰が彼らを信用するだろうか?」(Wolf 2009)

 

【理由②】

アメリカは国際秩序を再活性させるために必要な経済的影響力持っていない

◆“閉じ込め”を実現する上での課題

「アメリカが可能な範囲で手段を用いて問題に取り組めるように、世界的統治と協力における構造を新しくし、再構築すること」(Ikenberry 2011:353)

 これを達成するためには、アメリカは、社会経済的後進性や地域的または国際的不安定と対立を生み出す失敗に立ち向かうための、安全保障、経済的リーダーシップ、世界規模での国家建設計画といった公共財を提供する上で先導を取る必要がある(Ikenberry 2011:354, 359)



 第二次世界大戦後、世界最高の軍事力と経済力を手に入れたアメリカは、国際システムに公共財を提供する物質的能力を持っていた。

 しかし、世界金融危機後、財政困難に陥ったアメリカが国際秩序に公共財を提供することはだんだん難しくなる。

 

【理由③】

中国とその他地域新興国の台頭

 もし中国と新興国がアメリカの衰退を認識すれば、中国と新興国は1020年と機会を待ち、自分たちの利益、規範、そして価値が反映されるように、国際システムを作り変えるだろう。(Jacques 2009)

 中国とアメリカは主権、内政不干渉、そして保護する責任などの重要な問題に対して、基本的にお互い異なった意見を持っている。

 中国は自らを自由主義的秩序の中に取り入れ、経済成長を推進しているが、同時にその富はアメリカの地政学的支配に挑戦するためのハードパワーに転換されている。

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 中国は戦後の国際秩序を変えるためにシステム内で行動しているが、中国はBRICsや上海協力機構といった未発達の機構を通して、パックス・アメリカーナに取って代わる世界秩序の構築のための基礎を築いている。

 →■Martin Jacquesの見解:

 「中国は既存する国際システムの内側と外側の両方で同時に行動している。そして実際には、中国は現存するシステムと並んで存在しているだろう中国中心の国際システムを支援している状況であり、やがてこれをゆっくりと暴力によって手に入れ始めるだろう。」(Jacques 2009:362)

 

 

大国政治は力である。ルールや制度は孤立して存在しているものではない。むしろ、ルールや制度というものは、国際システムにおけるパワーの分布を反映している。国際政治では、支配した者がルールを作り出す。

 第二次世界大戦後の国際秩序は、アメリカの利益を反映するアメリカの秩序である。

 中国が戦後の国際秩序に取り込まれることによって抑制されるという考えは軽信性を欠くものである。アメリカの学者や政策決定者と同様に、中国の取り込みを成功に導くことは、パックス・アメリカーナの制度、ルール、そして規範を北京が受け入れるかどうかにかかっている。

 Ikenberryが言うように、アメリカが中国に提案すべき約束は、「北京が、ワシントンが東アジアにおける主要なセキュリティー・プロバイダ―(security provider)であるということを認めるといったワシントンの中心的利益を受諾し、順応する代わりに、ワシントンは、中国に地域秩序内における地位を提供することで中国の台頭を受け入れる」ということである。(Ikenberry 2011:356)

しかし、中国は地域内における覇権を目指しているので、中国がこの取引を受け入れることはない。

 どの観点からも、危険であることは明らかである。アメリカが東(そして東南)アジアにおける中国の台頭を受け入れない限り、ワシントンと北京は対立の道を歩むことになる。

 

(補足)※ご参考までにどうぞ。

第二次世界大戦後の国際秩序(the post-1945 international order)はアメリカが主導でつくりあげてきた西洋秩序を基本としたものと言われている。西洋秩序の特徴として、アイケンベリー(G. John Ikenberry, 1954-)は以下の3つをあげている。

1. Unlike the imperial systems of the past, the Western order is built around rules and norms of nondiscrimination and market openness, creating conditions for rising states to advance their expanding economic and political goals within it.

2. Past orders have tended to be dominated by one state. The stakeholders of the current Western order include a coalition of powers arrayed around the United States.

3. The postwar Western order has an unusually dense, encompassing, and broadly endorsed system of rules and institutions.

( Source: G. John Ikenberry, “The Rise of China and the Future of the West: Can the Liberal System Survive?,” Foreign Affairs, 87-1, January / February 2008, pp.23-37.)


(文責:土手内)

 

 

7. Conclusion

バランスオブパワー理論 v.s. 一極安定理論

アメリカの軍事的・経済的衰退は事実。

 

・それぞれの主張(第二次大戦以後について)

バランスオブパワー理論→アメリカに対抗する国(中国)が出現し、一極支配は崩壊。

一極安定理論     →中国を比較したとしてもアメリカの一極支配は21世紀も継続。

 

筆者の考え→一極安定論者は純粋なパワーのみに着眼しすぎて、中国の成長速度を見誤っ

てしまった。2016年には中国のGDPはアメリカのそれを超える。中国はも

はや成長している国ではなく、成長を遂げた国である。第二次世界大戦後の

予測について一極安定論者は間違いであった。

 

・アメリカの姿勢について

 国際システムにおいてのパワーの拡散は既に劇的に起こっており、そのパワー配置の結末についてアメリカは責任を持たなければならない。しかし、アメリカの高官は彼ら固有の否定する姿勢に束縛されており、現状を認めていない。

    一極支配を覆す証拠に対面したとして、それを否定し、一極世界が続くと信じている。

    もし、一極支配が終わったとしても、”liberal order”は世界に残り続ける。そのため世界は変わらず、自分たちに重大な影響は起こらないと信じている。

しかし、これらはあまりに短絡的な考えである。

 

・一極支配の次には?

 覇権国の衰退は常に大きな影響を引き起こす。多極構造の時代が間もなく訪れる。その時、世界の姿はより乱雑な様を呈するだろう。

 中国の成長を認め、アメリカは一極支配の終焉を現実として受け止めることが、次の15年先を見越したアメリカのグランドストラテジーの柱となるだろう。

(文責:森田)

 







[1]規範(norm):諸主体が集団として持つ適切な行動に関する共有された期待。(出典:森 聡,『国際政治学の基礎概念「アメリカの政治と外交」②』,2010


[2]パワー(power):他主体の選好(好みや考え方)を変えることは当面前提せずに、行動に直接はたらきかけようとする能力(=放っておいたらしないようなことをさせる能力)と、他主体の選好を変えることによって、行動に間接的に働きかけようとする能力(=放っておいてもこちらの望むようなことをするようにさせる能力)に大別される。ジョセフ・ナイの用語で言えば、前者は「ハード・パワー」であり、後者は「ソフト・パワー」ということになる。一般的にパワーの対象、手段、使用法の組み合わせは以下の3つが最も典型的であると見られている。

①軍事的手段を脅迫に使い、他主体の行動に直接的に作用させるパワー(=軍事力)

②経済的手段を褒賞に使い、他主体の行動に直接的に作用させるパワー(=経済力)

③文化的手段を説得・感化に使い、他主体の選好を変えることによって行動に間接的に作用させるパワー(=文化力)

(出典:田中明彦、中西 寛編,『新・国際政治経済の基礎知識[新版]』,有斐閣,2010pp.2-3


[3]秩序(order):規範が間主観的に共有されている状態。※間主観性(intersubjectivity):主観を持つそれぞれの主体間で成立する、国際社会における事象に関する共通の理解や認識。(出典:森 聡,『国際政治学の基礎概念「アメリカの政治と外交」②』,2010