NHK日曜討論(8/5 最新分析・北朝鮮問題)に森教授が出演! 2018/8/26

 

米朝交渉は進展しているのか、日本は北朝鮮とどう向き合うのか。

8/5(日)放送のNHK日曜討論に森聡教授が宮家邦彦氏(キヤノングローバル戦略研究所研究主幹/元外交官)、礒﨑敦仁氏(慶應義塾大学准教授/北朝鮮政治専門)、李相哲氏(龍谷大学教授)と共に出演し、北朝鮮問題についてコメントされました。

主な森教授のコメントは以下の通りです。(注:一部編集しています)

拉致問題に関して安倍総理・日本政府はアメリカとの連携強化に加え北朝鮮の金正恩氏と直接の首脳会談を模索しているが、この姿勢についてはどうか:
➢基本的には正しいと考える。北朝鮮が拉致問題で前向きな姿勢を取るためには“制裁の維持・徹底”と同時に、北朝鮮が拉致問題に関して前向きな姿勢になっている兆しを捉えるための“接触の地道な継続”という両面のアプローチが必要となるだろう。

・トランプ政権は「米朝首脳会談での合意の履行に向けて北朝鮮との交渉は順調に進んでいる」と強調しているが:
➢“交渉のプロセスが始まった”という意味ではある種の進展と言えるかもしれないが、核ミサイル問題に関しての具体的な進展が現時点で見られるかと言えば疑わしいと言わざるを得ない。交渉の初期においてはお互いが最大限の要求を相手にするので、直ちになんらかの成果が得られるということはないだろう。現時点での争点は「非核化に向けたプロセス(非核化が完了してから制裁解除or一定の措置がとられたのに応じて見返りを提供する)」の合意であり、ここについて未だアメリカと北朝鮮の間で立場の隔たりがあると言える。

・トランプ大統領は当初、終戦宣言に前向きな姿勢を見せていたが、現状は:
➢シンガポール会談直前はそういった話が出ていたが、今の所は慎重な姿勢を取っているようだ。ワシントンの専門家の意見を聞いていると、「非核化に関してなにも進展がない状況で終戦宣言はあり得ない」とのこと。終戦宣言については“交渉カードの一つ”として政権内部では捉えられているので、すぐにその話が出てくる可能性というのは低いだろう。他方でトランプ大統領の性格を考えれば、どこでこのカードを切るかということについては専門家とは違う感覚を持っているかもしれないため、未知数ともいえる。少なくとも現時点では、「今すぐ」という話は浮上してない。

・今後の米朝交渉:
➢手順としては、「制裁・圧力を継続する中で北朝鮮の譲歩を引き出す→ロードマップの合意→非核化への作業の開始」というのを早めに進めていくのが理想だが、政権1期目にここまで実現するのは時間の制約もあるので実現は難しいかもしれない。

・シンガポール会談のもたらしたもの:
➢外交的には「戦争のリスクを下げた,関係改善に向けて踏み出した」という意味で評価できるかもしれない。しかし同時に「緊張の低下」と「完全な非核化に向けた原則的な合意」というのが文書に盛り込まれたことであたかも問題が解決に向けて動き出したかのような雰囲気が広がっているのも事実。それが制裁網の緩みにも繋がっている。ここに穴が開かないように働きかけていく必要がある

 

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