10/9 本ゼミ議事録
本日は、国際秩序とは何か、グローバリゼーションとは何か、について学ぶために、文献報告を行いました。
4つの班全員が事前に指定された文献を読み、レジュメにまとめてそれぞれ発表しました。
以下がその参考文献です。
・ 篠田英朗、『国際社会の秩序』、東京大学出版会、2007年、第1章。
・ 正村俊之、『グローバリゼーション』、有斐閣Insight、2009年、第3章。
・ Evelyn Goh, “Hierarchy and the role of the United States in the East Asian Security Order,” International Relations of the Asia-Pacific, Vol.8, No.3 (2008) 353-377.
<前半>
最初の一限では、篠田氏と正村氏の文献報告がありました。
まずはD班の篠田英朗、『国際社会の秩序』、第一章の文献報告です。
第一章では国際社会について幅広い概略を学びました。
「国際」「社会」とはなにか、ではそれらが組み合わさった「国際社会」はどう定義されるか。
現代国際社会はどのような構成員から成り立っており、どのようなルールがあるか。
このような現代の国際社会を見た後、世界大に広がる国際社会の歴史を学びました。
16世紀には複数の国際社会がありましたが、この時代には互いに最低限の交流しかなく、それぞれの社会は孤立していました。
また、ヨーロッパの国際社会が力をもち、次第に他の社会は勢力を落とし、中には迫害された社会もありました。
このヨーロッパ国際社会と違う社会は、ヨーロッパ側から見れば「外部領域」です。
この外部領域が、16世紀から現代の国際社会の流れでどのような意味を持ち、どのように領域が変化していったかも学びました。
そして最後に、このような国際社会を作りあげた古典的ヨーロッパ社会の概略を学び、D班のプレゼンテーションが終了しました。
次にA班が文献報告をしたのは、正村俊之氏の『グローバリゼーション』、第3章です。
まず、国際化の進展を歴史を追って学びました。
戦後から順を追い、どのようなレベルでグローバリゼーションが進んでいったのかについて、
パクス・アメリカーナの概要やブレトンウッズ体制、フォーディズム、国際レジームの動き、戦後貿易...
など、様々な国際化の過度期の流れを追いました。
次に、「超国際化」をテーマに、従来の国家間の交流から超国際化、グローバル社会が形成される流れについて学びました。
新自由主義政策、金融の自由と国際化、金融工学の発達、コンピュータ・ネットワーク化や現代ネットワークの形成、多国籍企業の台頭、人口移動の新しい流れ...
こういった要素を学び、全体としてどのようにグローバル化が進んでいるか確認しました。
そして最後に、国際社会の基盤であったウェストファリア体制がどのように変容していったか学びました。
従来国家が主体となって行動していた国際社会は、グローバル化とともに様々なアクターが活躍する時代を迎えました。
多国籍企業、国際政府間組織と国際非政府組織、国際的な運動組織...現在は国家以外にも様々なアクターが国際社会を牽引しています。
また同時に、ナショナルなレベルのみならず、ローカルなレベル、国家の領域を超えたリージョナルなレベルと、現代社会は複雑な構造から成り立っています。
<後半>
上記二つの文献報告が終わると休憩をはさみ、次に英語文献の報告がB班、C班合同でされました。
参考文献は、Evelyn Goh氏の“Hierarchy and the role of the United States in the East Asian Security Order”の一部です。
この文献の指定範囲では、東アジアやアメリカ、ソ連の戦後の動きから、東アジア情勢がどのように変容していったかが書かれていました。
まず、ヴェトナム戦争、中ソ対立、ASEANの誕生や、アジアの一部地域規模での連携が挙げれられました。
こういった要素から、戦後の東アジアの秩序が変化していったと考えられます。
次に、冷戦終結後、どのようにアジアのヒエラルキーが変容したのかについて述べられていました。
国際秩序-米国が他国を凌駕する能力を持った超大国に留まる
地域秩序-中国の台頭と米国のアジア地域における戦略的重要性の低下という状況下で、日本や東南アジアを始めとする他国が現行秩序の再構築に励んだ
大まかには上記の内容が書かれていました。
日米関係や米中関係、アメリカと東南アジア諸国の関係などを見つつ、アジアの秩序を構成する主要なアクターの動きに注目しました。
ここでは、東アジアのヒエラルキー、階級が
1位 アメリカ
2位 中国
>>>大きな壁>>>
3位 日本、韓国
4位 インド
このように形成されていると述べられています。