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【第一文献】リチャード・N・ハース「アメリカの相対的衰退と無極秩序の到来 -アメリカ後の時代を考える-
概要→国際システムの改善を行う際に、米国の果たすべき役割は大きい
ハースの言う「国際システムの改善」とは「協調的無極秩序を形成すること」である。
ハースは、非国家主体が国際問題に影響を及ぼしている現状は「極」の概念では語れないとし、現在の世界は「無極(ノンポラリティー)」であるとしている。その無極世界において如何にして秩序を形成するかが一番の問題になるが、それを解決する手段として、上記の「協調的無極秩序を形成すること」を掲げている。
【第二文献】アン・マリー・スローター「21世紀の国家パワーはいかにネットワークを形成するかで決まる-新時代におけるアメリカ優位の源泉-
概要→米国はネットワークというパワーを利用し、国際システムを改善せよ
現在、米国は最大のネットワークを保持しているうえ、様々な要因(人口動態、地理、文化領域)から今後も優位であり続ける。その優位性を利用しさえすれば、国際システムを改善することができる。
【ハースとスローターの比較】
1.「パワー」の解釈が違う。
ハースは「物理的パワー」=主体に帰属するパワーでの解釈
スローターは「パワー」=関係性に発生するパワーでの解釈
2.アクターの認識
両者ともに、「非国家主体」を一つのアクターとして認識している。(共通点)
3.国際システムを改善する目的の共通点と相違点
両者ともに、「グローバル化した問題への対処」のために改善の必要性を訴える(共通点)
しかしスローターは、上記の目的の根底に、「米国の優位を維持する」という目的も存在する。(相違点)
【第三文献】スティーブン・G・ブルックス、ウィリアム・C・ウォルフォース「アメリカ衰退論は間違っている-ワシントンは国際システムの改革を主導せよ-
概要→優位である米国が国際システムを改革せよ
現状の国際システムでは、全く現在の国際問題に対応できないため、機能しているとは言い難い。現在の米国は国際システムの改革を行う正統性を保持している。
具体的な国際システムの改革案として「主要同盟国のフォーラムを形成すること」を挙げている。
【ブルックス、ウォルフォース(以下B&W)と先の二者との比較】
1.アクターの認識
B&Wは「非国家主体」をアクターとして認めない(先の二者との相違点)
2.国際システムの改革をすることの目的
B&Wは「アメリカの優位を維持する」という目的がある。(スローターと類似)
ここまでの三文献を、前半部分(4限)で扱いました。
先生は前半部分の総括として「前半は国際制度の話」とおっしゃいました。
なので、僕もこのブログの内容はその同類項(国際制度)を意識してまとめました。的確にとらえれてるかが非常に気がかりですが・・・
第三文献目のB&Wは第四文献目のクプチャンとの比較が重要です。
ところで今回は、公開ゼミ第二回目ということでしたが、みんな気負いせず、普段どおりのゼミを一年生に紹介できたのではないでしょうか
では、これにて4限部分の授業内容発表を終わります
以上宮本でした